昨今、ブラック企業という存在が可視化されてきており、これが社会問題となっている現状ですが、そもそもこういったブラック企業に当たらないために、その対極の概念であるホワイト企業に入ることを目指さなくてはなりません。
今回は、そんなホワイト企業の定義や特徴、ホワイト企業に入社するための方法をご説明したいと思います。
ホワイト企業の定義
ホワイト企業は、明確な定義はされていませんが、一般的に「離職率が低い」や「福利厚生が充実している」など会社の環境や待遇が良好である企業とされています。またブラック企業の対義語でもあるので、ブラック企業に当てはまらないことも条件となります。
ブラック企業の定義・特徴については下記の記事を参考にしてください。
ホワイト企業の特徴
ホワイト企業の特徴には下記があります。
・時間外労働(残業)が少ない
・有給休暇が取りやすい
・公平で透明性のある人事評価制度
・福利厚生が充実している
・社員の年齢構成が極端ではない(バランスが取れている)
・コンプライアンスの徹底(法令遵守)がされている
・給与水準が高い
・育休や産休など女性社員に優しい制度がある
・研修や教育制度が整っている
離職率が低い・平均勤続年数が長い
ホワイト企業を見分ける1つの方法として、離職率や平均勤続年数のチェックは欠かせません。離職率とは、採用されてから一定の時期までにその企業を辞めた人の割合を示すものです。離職率が高いほど社員が継続的に勤務しにくい会社であるということになり、また離職に対する会社側の認識も低いということになります。
平均勤続年数とはその企業の社員が平均してどのくらいの年数勤務しているかを表すものです。離職率と平均勤続年数を合わせてみることで、その企業の傾向がわかります
。就職四季報のデータから考えると、新卒入社3年後離職率一桁台や平均勤続年数10年以上の企業はホワイト企業である可能性が高いと言えるでしょう。
・新卒入社3年後離職率一桁%台
・平均勤続年数10年以上
時間外労働(残業)が少ない
時間外労働、いわゆる残業が少ないこともホワイト企業の大切な条件です。繁忙期などやむを得ず残業しなければならない場合はどの企業にも少なからずありますが、定時で帰ることの方が少なく残業が日常化して月に45時間以上の残業をさせている企業はブラック企業の可能性があります。
ホワイト企業であれば、余裕をもった人員配置が行われていたり、みなし労働時間制がないこと、労働組合の力が強いことなど社員の残業を減らす取組みがなされています。厚生労働省の勤労統計調査では、企業の時間外労働の傾向や推移・変動がわかります。企業全体の水準よりも平均的な時間外労働時間が下回っていることがホワイト企業の特徴です。
以下の厚生労働省の勤労統計調査のデータにもあるように時間外労働時間(所定外労働時間)の全業種平均は、14.9時間です。一概には言えませんが、これ以下の時間外労働時間(所定外労働時間)の業種がホワイト色の強いと思われます。
例えば、医療・福祉業は時間外労働時間(所定外労働時間)が7,1時間と全業種平均より極端に短いのでホワイトな職場が多いことが推定されます。一方で、運輸業・郵便業は、時間外労働時間(所定外労働時間)が27.4時間と全業種平均より極端に長いのでブラックな職場環境が推定されます。
月間実労働時間及び出勤日数(厚生労働省:毎月勤労統計調査 平成30年10月分)より作成
宅急便業界の時間外労働などの実態についてはこちらの記事もご参照ください。
・余裕をもった人員配置、みなし労働時間制がない、労働組合がある。
・月の時間外労働(残業)時間のホワイト目安は14.9時間以内
・医療・福祉や生活関連サービス業(店舗をかまえたサービス)では時間外労働(残業)が少ない傾向。
有給休暇が取りやすい
有給休暇は企業で働く社員にとって法律で定められた権利ですが、実際年間での有給休暇消化率はかなり低い所が多いのではないでしょうか。やむを得ない事情や体調不良の場合だけでなく、プライベートの充実やリフレッシュのためにも有給休暇は大切です。
有給はバイト、パート、派遣も取得する権利あり法律で決められてます。有給ない企業はブラックです。
【労働基準法第39条】
「使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間勤続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、勤続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。」— lucky (@kyoka00524) 2019年1月3日
政府が推進する「働き方改革関連法案」により、2019年4月1日以降は、年間5日の有給休暇取得を義務付けるなど、日本においても有給休暇を取得しやすい環境になってきました。そういった意味でも制度前から有給休暇取得を義務化したり、推奨するなど有給休暇を取りやすい職場づくりをしている企業はホワイト企業である可能性が高いです。
具体的には、有給休暇の取得手続きが簡単であることや有給休暇の理由を聞かないこと、いつでも好きなタイミングで有給休暇が取得できることなどです。
また、ホワイト企業の中には社員が長期休暇を積極的に取得できるよう、長期休暇取得制度を設けているところもあります。
・有給休暇取得を義務化したり、推奨している
・有給休暇の理由を聞かない
・長期休暇取得制度を設けている
公平で透明性のある人事評価制度がある
人事評価制度は社員の仕事に対するやりがいや働く意欲に直結するものです。仕事に関する様々な評価は客観的な数字や成果で表せない部分も多く、評価する側とされる側、双方が納得できる制度には公平性や透明性が備わっていることが不可欠です。
ホワイト企業の人事評価制度は評価項目が明確であったり、評価制度詳細を公開したりと透明性が保たれています。また、評価面談を設けて評価の理由をフィードバックするなど評価される社員1人1人に向き合った仕組みを構築しています。なお、様々な立場から多面的に評価する360度評価を行うことで、偏りのない評価がなされるような工夫がされている会社もあります。
360度評価っていいな。 自分も気を遣うけど、以前 “パワハラの権化” だった、アジアの他の国にいる “斜上司” が、360度制導入とともに、パーソナリティが180度変わってよい人になった。
— alfalfa_2011 (@alfalfa_green) 2009年6月22日
・評価項目が明確であったり、評価制度詳細を公開している
・評価面談を設けて評価理由をフィードバックしている
・360度評価を導入している
福利厚生が充実している
社員が喜ぶような福利厚生が充実していることもホワイト企業の特徴です。社会保険など企業に義務付けられている法的福利厚生のほか、企業で自由に定められる法定外福利厚生は企業の個性がよく現れる部分でもあります。家賃補助や社員食堂などの昼食補助は比較的ポピュラーで、資格取得や講座・研修の参加補助は社員の自己啓発に力を入れている企業でよくみられる福利厚生です。
ホワイト企業の基準3こ
・住宅手当がある
・社食がある
・保険の営業がくる— うさぎ安全確保支援士⊂((・x・))⊃ (@usagisagi) 2018年4月15日
特殊な休暇制度を設けて休暇の取得を推奨している企業もあります。オフィスにカフェを設置したりインテリアをお洒落にするなど、職場環境の整備に力を入れている企業も多いです。また、個々の社員が自分に適した福利厚生サービスをそれぞれ選ぶことができるカフェテリアプランという制度も人気が高まっています。
【カフェテリアプラン】法定外福利厚生費を有効活用するため、個人が得たポイントに応じて、企業が用意したメニューから、各個人に希望する福利厚生制度を選択させる制度
— 労務管理いろは (@roumu_kanri_) 2019年1月3日
・家賃補助や社員食堂などの昼食補助がある
・カフェを設置したりインテリアをお洒落にするなど職場環境を整備している。
・福利厚生サービスを選べるカフェテリアプランを導入している
社員の年齢層のバランスがとれている
社員の年齢構成や男女のバランスに偏りが生じている企業は何らかの問題を抱えている場合があるため、注意が必要です。例えば、若い世代が社員のほとんどを占める会社の場合は離職率が高く絶えず募集していることから、結果的に若い世代が集まっているという可能性もあります。また、年齢層が高い社員が多い場合は企業が業績不振などの理由で新卒を採用していないことも考えられます。
で、私の考える問題山積のブラック組織(企業)の外部からみてわかる特徴なんだがw、「年齢構成が偏っている」「管理職/平社員比が1/5を超えている」「退職率が異常に高い」「いつも求人している」ということで、もし貴方がハローワークで採用もらえばブラック率は高いかもw
— FloatGrass (@FloatGrass) 2010年8月16日
男女のバランスが偏っていると割合の少ない性別の社員は居心地の悪さを感じるでしょう。年代別の在籍割合や男女のバランスが良ければこうした不安を抱えていないことに加え、居心地が良いことやリストラがないこともわかります。ホワイト企業を探す際はこういった年齢構成や男女比の確認もポイントです。
確かに一般社会とは著しく年齢構成とかがおかしい集団や組織は根本的に問題がある場合が多いような気がします。30代の中途社員が「最年少」とか中小・零細のブラック企業ではよくある話です。 RT @takapon_jp: 50で若手とか異常だよな。
— 夏目耕四郎/oɹıɥsoʞǝɯnsʇɐu (@546_natsume) 2010年9月15日
・社員の年齢構成のバランスが取れている
・男女のバランスが取れている。
コンプライアンスの徹底(法令遵守)がされている
現在ではコンプライアンスという言葉が一般的によく用いられるようになりました。コンプライアンスとは法令遵守の意味で、企業においては社会規範に反することなく公正・公平に経営や活動が行われていることがコンプライアンスを守っていることに当たります。
経営者が“有給取らせない宣言”しちゃう。
そんなコンプライアンス違反がまかり通っちゃうのが、保育の現場。人員不足は経営者の問題。
ブラック企業戦士も裸足で逃げ出す非常識。無理が通れば道理はすっこむ。
ツケは末端の労働者へ。これが、子どもの「人権」を守り、「教育」する機関の実情。 https://t.co/mPv59EdPnX
— ももたろう (@momotaromomot) 2017年12月11日
具体的には不正経理がないこと、情報管理の徹底がされていること、製品の偽装がないこと、適切な労務管理がされていること、パワハラセクハラがないことなどです。コンプライアンス違反は場合によっては倒産を招く可能性もはらみ、企業にとって非常に大きな問題です。安心して働き続けるためには、コンプライアンスをしっかり守るクリーンなホワイト企業を探しましょう。
・粉飾決算などの不正経理がない
・個人情報の保護など情報管理の徹底がされている
・リコール対象になるような製品の偽装がない。
・適切な労務管理がされて違法残業などがない。
・パワハラセクハラがない。
給与水準が高い
月収やボーナスの額など給与が高ければ働く意欲も高まります。非常にシンプルなことですが、人が働く第一の目的は給与を得ることですから、給与水準は企業を選ぶ際に重要なポイントです。業績が良いホワイト企業は給与水準が高い傾向にあります。東証の決算短信や会社四季報を分析すればある程度企業の経営状況がわかるため、チェックするのが良いでしょう。
ZOZOが業績いいうちにしっかり言質取っておいて、2023年にどうなっているか確認したい案件。ワタミもユニクロも業績がよくブランド力のある時期はホワイト企業だったわけで。 https://t.co/W2nTu9EPAc
— おこげ (@7se7en11) 2018年10月22日
また、会社の規模が大きく、様々な分野に事業を展開している企業やブランド力のある大手企業は業績を上げやすいため、給与水準が高く福利厚生が充実している可能性があります。給与水準が高いということは、常に一定の業績を見込めているということにも繋がるため、安定して働ける企業として信用性の高さからもホワイト企業だと言えるでしょう。
・業績などの経営状況が良好
・会社の規模が大きく多業種に事業を展開している
・会社や製品にブランド力がある
育休や産休など女性社員に優しい制度がある
今や働く女性は珍しくありません。職場によっては男性よりも女性の比率の方が高いという場合もあります。その一方で、女性は妊娠や出産を経験する人も多く、働くことができなくなる期間が生じるため、職場で肩身の狭い思いをしたり、妊娠出産を理由に退職を勧められないか不安な思いをしている女性がいることも事実です。
育児出産休暇をはじめ、育児に便利な在宅勤務制度やベビーシッター補助制度など女性社員に優しい制度が整っている企業はホワイト企業である可能性が高いでしょう。また、女性役員など女性が管理職に登用されている企業は女性にとってやりがいを感じられる職場であると考えられます。女性が安心して働き続けられることはホワイト企業の大事な条件です。
・育児出産休暇、在宅勤務制度、ベビーシッター補助制度など女性が働きやすい制度が整備されている。
・女性が管理職や役員などの幹部職に登用されている。
研修や教育制度が整っている
ホワイト企業は社員を会社の大切な財産だと考え、社員の成長が会社の成長にも繋がるという認識を持っています。そのため、社員の育成を目的として、研修や教育制度が整えられていることもホワイト企業の特徴の1つです。
新入社員研修や中堅社員研修、管理職研修などの経験・役職に応じた研修やビジネスに必要なスキルを学べる社内セミナー、いつでも受講できて便利なEラーニングなど様々な種類の研修を受けることができます。
社内研修だけでなく、外部で行われる社外研修への参加を認めている企業も少なくありません。また、より専門的な知識や技術を身に付け業務に活かせるよう、資格支援制度を設けている企業もあります。
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・社員を大切な資産と考え経験・役職に応じた社内研修やセミナーやEラーニングを実施している。
・社外研修や資格支援制度にコストをかけている。
ホワイト企業に転職するための具体的手段
ホワイト企業は離職率が低いので、辞める人が少ないのでなかなか求人がありません。また、優良の大手企業などでは新卒重視の採用スタイルのため、中途での求人が少ないのも特徴です。
そんな中で、限りある枠からホワイト企業を探すのは至難の技ですが、口コミサイトや転職エージェントを利用すれば情報が可視化され無駄のない転職活動ができると思われます。
ブラック企業を排除した転職サービスを利用する
ある程度のキャリアや経験を積んでいれば、業界の知識もついてブラック企業を判別できたりしますが、まだ社会経験の薄い20代の第2新卒や既卒やフリーターの場合、行くあてもなかなかないのでブラック企業に就職しがちです。
そうならないためにも、「就職Shop(リクルート運営)」や「ウズキャリ」といったブラック企業を排除した転職エージェントを使うことをオススメします。
これらの転職エージェントは一つ一つの企業に直接出向いて雰囲気や社風や離職率などの就労状況ををリサーチしてブラック企業を排除した求人を提供してくれたり、企業の生の情報を教えてくれたりするので、オススメです。
最大手の転職サービスを利用する
最大手のサイトには優秀な人材が集まりブラック企業に入りたいという人は少なく、また出稿料も高かったりして、安いコストで大量採用を目指すブラック企業側も採用が見込めない思っているので、ブラック求人はおのずと少ない傾向にあります。
また、ビズリーチのような高年収対象の転職サービスも同様に、なるべく給与の安い人材を確保し酷使したいブラック企業の入り込む余地はないでしょう。
ネットの口コミを調査する
キャリコネのような企業の口コミサイトでは、元社員や現役社員が会社の口コミを書き込んでいます。こういった情報は各転職エージェントのキャリアアドバイザーですら知らない会社のリアルな情報が聞けて、ホワイトかブラックかの判断材料になります。こういった口コミサイトと転職エージェントを併用すれば、おのずとブラック企業に遭遇する可能性は減少するでしょう。
または、「5ch 企業名」のようなかたちで5ch(旧2ch)などの掲示板からブラックな情報はないか探してください。こういったネット掲示板はともすれば便所の落書きレベルのものもありますが、火のないところに煙は立たない、意外と真実を述べている場合も数多くあります。
まとめ
以上のように、ホワイト企業の特徴や転職するための方法を把握して、かつ口コミサイトや転職エージェントをうまく利用しておけばブラック企業を回避して、ホワイト企業に就職することができるでしょう。なんとなく就職するのではなく、しっかりとした方法論と戦略によって就活強者を目指しましょう!
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