飲食店業界が人手不足でブラックである6つの理由と特徴
飲食店業界がブラックになりがちな理由をご存知ですか。ブラック企業で働いていると精神的ストレスが溜まってしまい、体調を壊すこともあるでしょう。自分がブラック企業で働いているのかを見極め、そのような場合は辞めて転職するのも一つの手段です。今回は、そういった飲食業界がなぜブラックなのかについて、その理由と特徴をご紹介したいと思います。
飲食店業界は離職率が高い
宿泊業、飲食サービス業の離職率は厚生労働省の新規大卒就職者の産業分類別就職3年後の離職率の推移によると直近の数字は、49.7%と全産業平均の31.8%と比べてもかなり高い水準です。
出典:厚生労働省:新規学卒者の事業所規模別・産業別離職状況より作成
・H27.3大学卒業者における就職後3年目までの離職率
宿泊業、飲食サービス業49.7%(全産業31.8%)
知らないうちに洗脳されてしまう
飲食店がブラックになりやすい理由として、洗脳している場合があります。例えば、求人誌には「夢・感動・成長」などの言葉を書いている企業があるでしょう。このような言葉を、信用してはいけません。実際に実践している企業もありますが、多くは違います。研修で夢や感動という言葉を聞くと、仕事が楽しみになるかもしれませんが、期待させているだけなのです。また、朝礼で社訓を読ませる企業も、注意した方がいいでしょう。これは、一種の洗脳で、大変でも仕事を続けさせるための行動です。
動画:居酒屋の絶叫朝礼の参考動画
「仲間・家族」と謳っている企業も、注意が必要です。何かをする時でも、「仲間だから」という言葉で強要されてしまいます。飲み会や懇親会などへの参加は、個人の自由です。しかし、「仲間・家族」という理由で参加を強要されると、出席しないといけないという雰囲気になってしまいます。ブラック企業に勤め始めた人は、飲み会や懇親会の参加を断ることができないでしょう。そのうちに洗脳されていき、強要することが自然になってしまいます。従業員がこのような状態になっている場合、ブラック企業の可能性が高いです。
名ばかり店長の問題
飲食店でブラックが多いのは、「名ばかり店長の問題」もあります。飲食店では、アルバイトなのに店長という体系を採用していることが多いです。また、店長は管理監督者として、労働時間や休日などの定めが適用されない場合もあります。管理監督者ではない従業員なら、休日手当や残業手当をつけられますが、店長は手当がないのです。業務量が多い場合、店長も一緒になって残業をしますが、残業手当はもらえません。責任が重い仕事だけでなく手当がないことは、名ばかり店長問題になっているのです。さらに、アルバイトで店長になっている場合は、さまざまな決定事項の権限がないことも問題でしょう。責任の重い業務を押し付けられているだけです。
バイトの穴埋めをするのも、店長の役目です。もし、人員が辞めたり休んだりした場合は、店長が穴埋めをしなくてはなりません。辞めてしまった時は求人を出すことになりますが、本社に許可をしないといけないこともあるのです。名ばかり店長は求人に関する権限がなく、すぐに人員補充をすることができません。つまり、穴埋めをする店長の負担が大きくなってしまうでしょう。
以上のことは、下記の農林水産省のデータからもわかるように、正規雇用者を店長、非正規雇用者をバイトとするのであれば、週の実労働時間60時間以上をしているのは、正規雇用者(店長など社員)で12.5%(繁忙期24.3%)、非正規雇用者で1.9%(繁忙期3.9%)と圧倒的に正規雇用者である店長や社員が大きな割合を占めることがわかります。
出典:農林水産省:外食・中食産業における働き方の現状と課題についてより
これはすなわち、正規雇用者である店長や社員がバイトの病欠や退職による人員不足を労働力によってカバーしていることがわかります。非正規雇用者のアルバイトの立場が楽というわけではないと思いますが、圧倒的に店長や社員の負担は大きいのではないでしょうか。
・正規雇用者 :通常期12.5% 繁忙期24.3%
・非正規雇用者:通常期1.9% 繁忙期3.9%
長時間労働で激務
長時間労働で激務なことも、ブラック企業になる理由です。飲食店では、仕入れや仕込みなどをしなくてはなりません。また、店長やチーフなどリーダー的役割をしている人は、シフトの作成などの事務作業もするでしょう。しかし、これらの業務は給料の発生する業務時間以外でする傾向があります。つまり、朝早く来て仕入れや仕込み作業をしていても、その時間帯はタイムカードに反映させていないことがあるのです。長時間労働をしていても、給料に反映しない場合は、ブラック企業になるでしょう。
飲食店では、掃除や片付けをすることが大切です。食品を扱っているため、厨房やテーブルを清潔にする必要があります。他の業界では清掃員を雇いますが、飲食店に専門の清掃員を雇うことはほとんどありません。人件費の抑制などから、掃除や片付けの業務も従業員がしなくてはならないのです。また、飲食をしている人がいる時間は掃除や片づけができません。全てのお客さんがいなくなってから、ホールの掃除に取り掛かることにでしょう。つまり、飲食店の営業時間外でも働く必要があり、長時間労働につながってしまうのです。
パワハラが横行している
パワハラが横行しているのも、飲食店がブラックになりやすい原因です。特に、職人などの昔気質な人が多い職場では、気を付けた方がいいでしょう。昔気質の人は、体で覚えさせるという考え方があります。もし、失敗をしてしまったら、肉体的な暴力をすることがあるのです。また、「お前は役立たず」「給料を払う価値がない」などの言動は、精神的な暴力になります。このような、肉体的・精神的暴力などのパワハラが横行している企業は、ブラック企業なのです。
このようなパワハラが横行していても、正社員になっている人はすぐに辞めることができません。また、暴力による洗脳で、自分は役に立たないなどと思い込んでいる可能性もあります。洗脳されている状態だと、褒められた時の嬉しさは倍増するでしょう。パワハラによって洗脳して、落ち込みと喜びの心理を使いコントロールしているのです。「新人は30分早く出社する」「新人がトイレ掃除」などもパワハラの一種になります。新入社員はそれを普通と思いがちですが、マインドコントロールされているだけです。これらの言動もパワハラになるので、注意した方がいいでしょう。
慢性的な人手不足
飲食業界がブラックになりやすい理由として、慢性的な人手不足があります。飲食業界では、「厨房で調理をする・配膳をする・注文を受ける・会計をする」などの役割があり、思ったより仕事が複雑です。それぞれの担当を配置できればいいですが、そのようにしている飲食店は少ないでしょう。調理する人は固定されていても、注文・配膳・会計はワンオペでしないといけないのです。これには、経費削減による慢性的な人手不足が関係しています。ブラック企業では、なるべく人件費がかからないように、最小限の人数でやっていることが多いです。つまり、本来の業務量よりも、多くの仕事をしている可能性があります。
人手不足になると給料が安い・休みが少ないなどの理由で、辞める人も出てきます。もし、辞めた人がいても人員補充をしないところは、注意が必要です。求人を出すだけでも経費が掛かるため、なるべく人員補充を避けています。また、給料が安いという理由で、外国人労働者を雇うこともあるでしょう。しかし、人数は足りていても、すぐにスムーズな業務ができるわけではありません。つまり、元からいた従業員に負担がかかってしまいます。
最後に
飲食店業界のブラックである理由を述べてきましたが、最近ではブラック企業という風評により売り上げ減や人材確保難などの弊害が生じ、これを改善しようという動きもあります。もし自分が働いている飲食店がブラックだった場合は、他業界を目指すのはもちろんですが、そういったホワイト化した飲食チェーンなどに転職するのもいいかもしれません。
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