【介護職もうやってられない】私が介護離職するまで

この記事では、ネットで募集したブラック企業体験談を執筆者の合意のもとで掲載しています。 こういった体験談を知ることで、少しでもブラック企業から抜け出せる勇気を持ってもらえればと思っています。
20代/女性/介護施設:正社員(当時)

【介護職もうやってられない】私が介護離職するまで

ホームヘルパー施設介護員は給料が良いと思われることもありますが、夜勤もあり、うつ気味になる人も多く、離職率も高いのでとても大変な職場です。どちらも経験した私の体験談をお話しします。

希望にあふれていた就職直後

元々施設介護員として就職し、お年寄りのお世話やその家族とのコミュニケーションを中心に仕事をしていました。施設では昼間の仕事だけではなく夜勤もあって大変ですが、それでもお年寄りのみなさんや家族の方に感謝の気持ちを言われたり、喜んでもらうことができるというのは何よりも嬉しく感じられました。

ですが、給料はそこまで高くなく、正直仕事内容の割りには少ないなと思っていたほどです。しかし、自分がしたことで喜んでもらえたり、相手が笑顔になるだけでも「この仕事についてよかった」と思っていました。

それが少しずつ大変になってきたのは仕事に慣れて、夜勤にも頻繁に入るようになった頃です。お年寄りの中にはボケが始まっている人もいます。少しボケが始めると家族は混乱したり、どうしたらいいのか迷ってしまう人もいます。

そのようなときには介護員としてアドバイスをしたり、どのような方法で接すればいいのか、気をつけるべきことなどをできるだけ伝えていました。しかし、当然教科書通りの対応だけでは追いつかないこともたくさんあります。そのような状態が続くとうつのような状態になる家族の方もいるため、そこはできるだけサポートをしていたつもりです。

働き始めることで分かる介護施設の仕事の闇

施設介護員として働いているうちにお年寄りのお世話にも慣れてきて、仲良くできるようになってきました。利用者には笑顔で対応してくれる人もいますが、中にはムスッとした表情で返事をしなかったり、こちらに無理難題を言ってくる人もいます。

ですが、これは家族と離れている寂しさから出るものだろうと考えていました。他の介護員たちに話をしても「気にしすぎても良くない」「相手の体調やそのときの状態をしっかりと見ておくだけでいい」という話になって終了します。確かにあまり考えすぎても良くないだろうと思い、その言葉に納得して仕事を続けていました。

ところが、ある日介護員の中にお年寄りの言葉や行動を笑って馬鹿にしている人がいることに気が付きました。私達介護員は介護のプロです。ですから、お年寄りを馬鹿にして見下すなどもっての外であり、絶対にしてはいけないことです。

ですが、実際に働き始めて感じるのは介護員の変化でした。初めは私と同じように希望にあふれて介護の仕事を始めているのに、介護員同士のトラブルや相性の悪さ仕事の効率を悪くする施設の決まりなどが原因で段々と鬱々とした状態になっていくのです。

夜勤などの疲れはもちろん、給料と仕事内容のハードさの釣り合いの悪さに離職を考え始め、ホームヘルパー(訪問介護員)に転職する人もいました。お年寄りを馬鹿にする笑いはそのストレスを発散するためのものだったのです。

いつの間にか溜まったストレスでうつの診断

私も介護施設のスタッフとして働き始めて1年と少し経った頃、自分がうつ気味になっていることに気が付きました。だんだんとやる気がなくなり、体を動かすのが億劫になっていったのです。職場へ行くことに抵抗感を感じ、お年寄りたちと会話をすることも辛くなってきました。

やりたかった仕事のはずなのに、なぜこんな風になっているのだろうと自分を責めたこともあります。夜勤のときには職場へ行くと吐き気がするほどになり、自分の体調と精神がおかしいと感じ始めました。

うつ症状を感じ始めてから2ヶ月ほど経ち、医師の診察を受けたところ、うつであると診断されました。介護員はこのような症状になって離職をする人が多いようです。その原因は人間関係が多く、また仕事のハードさも原因のひとつだと言います。夜勤を連続して入れられたり、自分の仕事ではないことを押し付けられるなどは私もありました。

ですが、お年寄りには関係がないことなのでしっかりと仕事はしないと!と自分を追い詰めたことでストレスが溜まり、その結果うつになってしまったのです。それ以外にも、私は医師と話しているうちに給料の低さにも不満を持っていることに気が付きました。その後は結局離職することになりました。

転職した先でも起こった困ったこと

離職してしばらくは就職活動をせずに数カ月医師の診察を受けながら体と心を休ませることにしました。ですが、そのまま仕事もせずにいるわけにもいかず、ホームヘルパー(訪問介護員)の仕事を始めました。これなら夜勤もなく、給料も以前と比較してもあまり変わりはないのではないかと思ったからです。

うつの症状も少しずつですが改善していき、薬などに頼らなくても良くなった頃に再就職することができました。離職してから半年以上経っており、これ以上仕事をせずに生活することができなくなってきた頃でした。

ホームヘルパー(訪問介護員)の仕事は、お年寄りの介護が大変な家族のサポートをします。定期的に決まった日に家を訪れて健康状態の確認や話し相手などにもなりますし、家族の方の話を聞いてアドバイスをしながらリラックスできる時間を作るようにしていました。

施設介護員のときのような苦しさを感じることもなく、職場の方たちとも仲良く過ごすことができていたので今度こそ離職するようなことはないだろうと思っていました。

ところが、やはりうつの症状がひどくなるような出来事があったのです。それは「ホームヘルパー(訪問介護員)が家のものを盗んだ!」という訴えから始まりました。実際そのようなことを私はしていませんし、する暇もない中で疑いをかけられたのです。

介護職でつけられる見えにくい傷

ホームヘルパー(訪問介護員)の仕事を始めてようやく慣れてきた頃に起こったトラブルでしたが、このようなことは介護の世界ではよくあることで、しっかりと話をすれば解決できることがほとんどです。しかし、今回は違いました。家族の方からも疑われ始め、結局その訪問先から外されてしまったのです。

介護をする者にとってこんなに悔しいことはありません。していないことをやったと思いこまれるのは、信用されていないからだと思います。このような困ったトラブルは介護職のひとつの問題です。

うつと診断されてからようやく働き始めた先でトラブルに巻き込まれてしまい、夜勤がないので疲労も少なく、職場の人間関係も良いので続けたいと思っていたのに、結局うつが再発して離職することになりました。このようなトラブルは介護職の世界でも珍しくなく、これが原因で離職したり介護に関わる職を避ける人も多いです。

給料も安く、仕事や人間関係はハードというブラック企業と同じくらいのきつい環境である介護職は続けることが本当に難しいと思います。夜勤など仕事面のつらさ以外で辞めてしまう人の多くが、このような見えにくい心の傷をつけられたことで離職していると感じています。私も今では介護関係の職からは離れていますし、二度とこの職には就くことはありません。

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https://shachiku.org/archives/802

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