工場で正社員勤務ってどうなのだろう、派遣とかでルーチンワークでマッタリ働くイメージだけど社員だと違うのかな?
その疑問にお答えします
当記事の内容
30代/男性/工場勤務(当時) |
3K揃いの工場勤務のブラックな実態
人手不足にあえぐ製造業は社会の底辺のような辛くてきつい長時間労働が多く、心身ともに疲労が溜まっていきました。離職率の高さも納得してしまうブラックな工場勤務の実体験をお話しします。
採用面接約3分!ブラック企業は広き門
約10年務めた前職の会社を持病の治療入院のために離職したのは33歳でした。それから2年間治療に専念し無事健康な身体を手に入れたものの、いざ再就職先を見つけようにも年齢的になかなか見つからず、毎日ハローワークからうなだれて帰る日々が続きました。
その頃、ハローワークで知り合った一人の男性から「人手不足で困っている工場勤務の良い仕事があるらしい」と紹介を受け、後に勤務することになる工場へと足を運ぶことになったのです。
郊外に建っているその会社は請負で部品を作る小さな工場でした。従業員は40人程で、社長がワンマンで取り仕切っている会社です。電話でアポイントメントを取り、履歴書を持って人事担当者と面接をしましたが、驚くことに履歴書をよく読みもせずに「いつから来られる?」の一言で採用が決定しました。
確認されたのは残業ができるかどうかという一点のみ。面接時間はおおよそ3分という速さでした。後から知ることですが、人事担当者は社長の甥にあたる男性で、会社の主格になるポジションには一族の人材が充てられていたのです。
上司不在の職場へ配属
勤務初日から配属されたのは工場のラインでした。黒く鼻につくオイルの臭いが蔓延し、床も黒ずんでベタついています。仕事の内容としては単純なもので、ライン上に流れてきたバットと呼ばれる籠のようなものに部品を組み立てながら並べていく作業です。
しかし、一つ一つの部品がとても重く、一籠仕上げるだけできつい仕事であることがわかりました。また、部品に付着しているオイルで防油手袋はあっという間に黒くなり、コツを覚えるまで作業服も汚れがついて半日で真っ黒になってしまうほどです。
そして、驚くことに配属された職場には上司が不在で、仕事のハウツーは同僚が教えてくれました。上司は今日だけいないのかと思いきや、後日仕事を教えてくれていた同僚から「上司は社長のノルマが辛すぎて鬱になった」という事実と「管理職は人件費がかかるから当面の間、新しい人を立てずに社長が直属の上司として兼務している」ということも聞かされました。
ここには相談する相手も改善を進言する相手もいない、底辺とも言われる環境の職場に来てしまったのか!と一か月にも満たない間に思い知らされることになったのです。
減りゆく人材、長時間労働の闇
採用面接時に「残業はできる」と答えたのは事実ですが、毎日3時間以上の残業が続くとは思いませんでした。業務形態は2つで早番と遅番があり、8時間を過ぎると早番から遅番の人へと交代するシステムだと聞いていたのですが、どこのラインも人材不足のためラインを交代することが出来ず、肉体労働を朝から晩まで10時間以上は行っていました。
さすがに3か月を過ぎた頃から体のあちらこちらに無理が出始め、肩に鉛を乗せたような重さが休日を挟んでも取れず、社長に残業を減らしてもらえるよう相談しました。
初めは「面接の時に残業できるって言ったよね?」と相手にしてもらえませんでしたが、このままだと通院の為に休みをもらうことになってしまうかもしれないという事、また持病で連日の長時間労働が辛い事を正直に伝えると「じゃあ、定時に帰って休日に残業分を働けばいいよ」と言われたのです。
残業か、休日出勤か。二択を提示されてどうしても腑に落ちなかったため、翌日同僚に相談しようと思ったのですが、その翌日から同僚が職場に姿を現すことはありませんでした。
長時間労働にも関わらず低収入だったため、家族に強く転職を勧められていると電話で聞いていたのです。その頃から私も離職を考え始めました。このままだとこの3K職場に心身を蝕まれてしまうと強く危機感を持ったためです。
離職を決意。ついに退職願を提出
「石の上にも三年だろう!」というのが退職願を出したときの社長からの一言です。半年足らずで辞めるなんて辛抱が足りないと言われたのも思い出します。「これ以上人手不足が続けばウチは潰れてしまうかもしれない、ウチを潰す気か?」と採用時に面接をした社長の甥の人事担当者からも言われました。
その後話し合いをしましたが、結局次の人が見つかるまでと今まで最低賃金だった給料の改善として、給料の上乗せを条件にもう少しだけ続けることになりました。
しかし、なかなか新しい人材は現れず、さらに半年が過ぎようとしていました。そろそろ就業して一年という頃、体に異変を感じたのです。食欲の減退と酷い腹痛、更には帯状疱疹を発症し、病院へと駆け込みました。
今回の症状の大きな一因はストレス過多によるものだと主治医の医師に告げられ、職場を変えることを勧められたのです。医師からのアドバイスにより、ついに転職を決意。病院の診断書と退職願を合わせて提出しました。
病院の診断書を見て「労災じゃないから面倒な事起こさないでよ」と社長に言われたものの、思った以上にあっさり退職を認めてもらうことが出来ました。
離職して気が付いた本当の底辺
離職後、しばらくして辛かった身体の異常が解消し、体調も驚くほどに改善しました。持病の再発も抑えられて本当によかったです。自分は何とか退職できたら良いものの、退職できずに苦しんでいる同僚もいます。
やはり転職先はじっくり精査した上で選ばなければならないと強い教訓になりました。求人情報や職場見学、面接だけではなかなか企業の内情までは知り得ることはできませんが、そこで働く人達の様子もしっかり見て決めることが大事だと思います。
思い返すと工場での仕事は長時間労働でとてもきついものでしたが、離職してみると本当につらかったのは仕事の内容ではないことに気が付きました。社長以下会社の上の人間が働く人をまるで物や機械のように扱っていたという事実が一番つらかったです。
それこそがまさに人としての底辺だったのだと気づきました。会社は働く人の生活を支え、また働く人は会社を支えます。まずは人を何より大切にし、労働者も職場自体もしっかりマネジメントしなければ、深刻な人手不足は解消しないのでしょう。状況に応じたモチベーションを上げ、働く人に良い環境を作っていくということに尽力する会社がこれからもっと増えてくれることを期待したいと思います。
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