先日、勤労感謝の日にあわせてブラック企業体験イベント「THE BLACK HOLIDAY」というがイベントが開催されました。
良い職場とは何かを考えるという趣旨の元、実際のブラック企業であったパワハラなどを役者による演技で再現するイベントで、参加者は架空の会社「スーパーミラクルハッピー社」の新入社員として被害者の立場を体験します(監修はブラック企業アナリストの新田龍氏)。
理不尽な扱い
理不尽な嫌がらせ
暴力行為
動画:ブラック企業体験イベント「THE BLACK HOLIDAY」
スーパーミラクルハッピー社(ブラック企業)の新入社員研修
先日、ブラック企業体験イベント「Black Holiday」に参加してきました。
開始5分で帰りたくなり、その後2時間いたたまれない気持ちで過ごしたわけですが、それでも確信したことは「ある種の人材を一番効率的に働かせる方法がブラック企業だ」ということです。— 森山たつを/もりぞお カンボジア サムライカレー社長 (@mota2008) 2018年11月29日
このプログラムは、仮想の会社「スーパーミラクルハッピー社」に入社したという体で、入社初日の業務を体験します。会社の社員は劇団の人。そして、そこで行われる業務は、実際のブラック企業の実態からなっています。
— 森山たつを/もりぞお カンボジア サムライカレー社長 (@mota2008) 2018年11月29日
当日、山手線が遅れて5分ガチ遅刻して会場に着くと
「新入社員のくせに、なに遅刻してるのー」と、大変イヤな感じで受付がお出迎えしてくれます。
ちなみに、集合10分前についても「新入社員は、30分前に来て掃除するのが当たり前でしょー」と言われるそうです。— 森山たつを/もりぞお カンボジア サムライカレー社長 (@mota2008) 2018年11月29日
そこから、ブラック企業の新卒研修が始まるのですが、これが、なかなか戦慄かつ理にかなっているのです。
1時間にわたる研修の流れはこんな感じです。
1.社訓絶叫
2.販売戦略説明
3.模擬営業— 森山たつを/もりぞお カンボジア サムライカレー社長 (@mota2008) 2018年11月29日
社訓絶叫
1.社訓絶叫
「私たちは、人類の健康に寄与します!」
スーパーミラクル、ハッピー!こんなことを、はちまきを締めた、営業課長に絶唱させられます。
最初は「氏ね」と思って適当にやっているわけですが、声が出てないと、ガチでどやされます。さらに、前に出されて、絶唱させられます。
— 森山たつを/もりぞお カンボジア サムライカレー社長 (@mota2008) 2018年11月29日
仕方がないので、声を出して、振り付け付きで「スーパーミラクル、ハッピー!」とかやっていると、だんだん楽しくなってきます。
なんか、人類の健康に寄与し、正しい経済発展に貢献しているような気になるのです。— 森山たつを/もりぞお カンボジア サムライカレー社長 (@mota2008) 2018年11月29日
ブラック企業の販売戦略
こうやって、テンションが上がったあと、始まるのが、
2.経営戦略の説明です
スーパーミラクルハッピー社の主力商品は30万円の健康器具。
「我が社の営業方針は、訪問販売。そして、対象顧客は独居老人、これだけです!」
と、ブラックなことを言い始めます。— 森山たつを/もりぞお カンボジア サムライカレー社長 (@mota2008) 2018年11月29日
「独居老人は、さみしい。だから、そのさみしさを癒やしてやれば、いくらでも金は払います」
明らかに人道的に大問題なのですが、先ほどの社訓絶唱で頭がおかしくなっているのか、一瞬それも「人類の健康に寄与」し「正しい経済発展に貢献」しているような気になってしまいます。
— 森山たつを/もりぞお カンボジア サムライカレー社長 (@mota2008) 2018年11月29日
自己判断力をなくさせるのがブラック企業の手口
たかだか数分の絶叫でこうなってしまうのですから、これを人通りの多い道で1日やったり、富士の裾野で自衛隊と一緒にやったりしたら、効果は覿面でしょう。
さらに、毎日始業時にやって刷り込み続けたら、自分の判断力なんてなくなってしまいます。— 森山たつを/もりぞお カンボジア サムライカレー社長 (@mota2008) 2018年11月29日
営業練習での社員への恫喝
そして、3.模擬営業が開始です。
このプログラム、あとでわかることですが、十数人の社員のうち、一人だけが劇団員です。(やってるときは、4人くらい仕込みなのかと思ってた)
その劇団員は、マッシュルームカット、か細い声、おどおどした態度という明らかに「社会的弱者」な風貌です。— 森山たつを/もりぞお カンボジア サムライカレー社長 (@mota2008) 2018年11月29日
彼が前に出されて、模擬営業をやらされるのですが、当然のごとくうまくできません。
「声だせって言ってるんだだよ!」「やる気ないなら、帰れ!今すぐ辞表出せ!(ガンッ)」と複数の先輩に激詰めされ、泣き出してしまうマッシュルーム。
そこに、女性の営業部長が声をかけます。— 森山たつを/もりぞお カンボジア サムライカレー社長 (@mota2008) 2018年11月29日
最後は同情することで洗脳完了
「あなた、いいスーツ着てるのね。これ、お母さんに買ってもらったの?あなた、正社員になって、お母さん喜んだよね。ここで辞めたら、お母さん悲しむよね。だから、もうちょっと頑張ろう。」
「わかりました・・・頑張ります」— 森山たつを/もりぞお カンボジア サムライカレー社長 (@mota2008) 2018年11月29日
さっきまで激詰めしていた先輩が「おー!そうだ!頑張れ!」「お前ならできる!」と賞賛します。
洗脳完了。
— 森山たつを/もりぞお カンボジア サムライカレー社長 (@mota2008) 2018年11月29日
絶叫→刷り込み→恫喝→同情→洗脳の流れ
このように、ブラック企業では
1.絶叫などで、テンションを上げて、理性を失わせる
2.そこに、非人道的な仕事を(間違っていると思わせないで)覚えさえる
3.恫喝し恐怖で萎縮しているところに、優しい言葉をかけ、その後全員で賛美することで洗脳をするわけです。— 森山たつを/もりぞお カンボジア サムライカレー社長 (@mota2008) 2018年11月29日
ブラック企業は、こういう社員を動くように調教する手段を持っています。
まず、絶叫させることで、エンジンをかける。
そして、営業研修でハンドルの方向を(本人の意思を無視して)固定する
最後に、恫喝と共感と賞賛でエンジンを踏むわけです。— 森山たつを/もりぞお カンボジア サムライカレー社長 (@mota2008) 2018年11月29日
社員が壊れたらポイ捨て
普通にやってたら動かない車を無理矢理動かし、利益を生んでいるのがブラック企業。
もちろん、壊れたテレビをたたいて直すような手法なので、しばらくやってたら本当に壊れるのですが、そしたらポイです。— 森山たつを/もりぞお カンボジア サムライカレー社長 (@mota2008) 2018年11月29日
こういった状況を踏まえると、ブラック企業は経済合理性があるもので、そう簡単にはなくならないものだということがわかります。絶叫、教育、恫喝、賞賛の流れは、労働基準法を守っても実行出来ますから。
— 森山たつを/もりぞお カンボジア サムライカレー社長 (@mota2008) 2018年11月29日
動画:ブラック企業に入らないため学生時代にすべきこと
ネットの反応
ブラック企業体験イベント「THE BLACK HOLIDAY」へ行ってきたけど、ブラック企業出身者から見てもマジでリアルで、大声での社訓斉唱も、鶴の一声で毎週土曜日出勤になるのも、時間外で掃除させられるのも、社長の家族が頭おかしいのも、あるあるネタすぎてケラケラ笑ってた。もちろん怒られたけど。 pic.twitter.com/ilc1LQgqVT
— 大原絵理香 (@ericaohara) 2018年11月23日
ブラック企業体験イベント、参加された方からも「同調圧力の恐ろしさが分かった」「人間を無理矢理動かす合理的な仕組みだと戦慄した」と生々しいご感想を頂けていて嬉しい。
これを管理職に体験してもらうコンプライアンス研修を企画中。ご興味をお持ち頂ける所はあるかな?https://t.co/GKPjSy68o5— ブラック企業アナリスト 新田 龍 (@nittaryo) 2018年11月30日
動画:“ブラック企業”を体験してみた「死ねよ」
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